稚内ドームで開催されていた
「稚内いーべや祭り」
(写真・上・中)
クイーン宗谷号(写真下)



 海馬島から船泊方面を望む


礼文島北部の風景
写真中・下:スカイ岬    





ちどりのちゃんちゃんやき と
     ウニ丼
礼文島(北海道)
 新婚旅行第2弾(1996年8月)である。     

1996年8月に、相棒と二人で利尻・礼文へ行って来ました。

利尻・礼文の由来

 利尻島のリシリはアイヌ語の「リシリ」(海上の目印島)という意味から来 ている。礼文島も同様にアイヌ語で、「レブンシリ」(沖にある島)という意味 だそうだ。
 利尻島と礼文島は近くにあるが、地質的な由来が大きく異なる。利尻島は、 利尻岳の火山活動によってできた比較的新しい火山島で、そのため、標高が1721m と高い。島は円すい形をして、基本的に険しい山の島である。礼文島は、いち ど海中に没した島が再び隆起してできた島で、なだらかな丘陵の島である。島は 足跡の形をしている。
 気候は共通していて、暖流の影響で冬は暖かい。といっても北海道としては だが。
 ところで全然関係ない話だが、なんで北海道の島って、礼文[とう]・利尻[ とう]・奥尻[とう]っていうふうに、[島]を[とう]って読むんだろうね。日本の 他の島は、西表[じま]・伊豆大[しま] みたいに[しま]って読むのにね。外国の 島が、ハワイ[とう]・シチリア[とう]って読むことを考えると、北海道は外国扱 いみたいだね。

利尻礼文への足

 利尻と礼文、稚内の西に浮かぶ二つの島は、昭和初期までは、200kmも離れ た小樽とのつながりが深かった。利礼航路と言えば小樽便のことを指していたく らいだ。しかしニシンが捕れなくなってからは貿易港・小樽とつながる必要が無 くなったこと、小樽自身も地盤沈下したこと、船より鉄道を使う時代を迎えたこ と、などから礼文・利尻の物流のは稚内経由に変わってきた。現在では、小樽航 路は廃止、礼文・利尻への交通は海・空ともに稚内が玄関口である。
 利尻礼文へは、稚内港から船が一日に4・5便(夏期)、稚内空港から19人乗 り飛行機が1便。

利尻・礼文へ行く

 さて、今回私たちは、稚内へ行くのに飛行機を利用した。鉄道や船でゆっく りと、というのも考えたのだが、あまりに日数がかかるのと、交通費もかえって 高くついてしまう、ということで往復とも飛行機(関空-稚内の直行便)にした のだ。 飛行機といえば、早割だね。とにかく2ヶ月前になったら速攻で申し込 むが[吉]。早割に割り当てられている席は1割程度のようだし、便によっては早 割はおろか一般席まで無くなる可能性があるからね(実際 沖縄便はすごいぞ、 半日でなくなるぞ)。
 今回の旅行は、行きがモロお盆期間だったので、早割どころか割増料金を取 られたが、帰りは早割が取れたので、まぁ良かった。しかし行きと帰りの運賃が 2倍違うというのも、なんか凄まじいものがあるね。
 飛行機が取れたら、次は宿だ。礼文も利尻も3泊ずつする予定だ。独身時代 は行き当たりばったりで宿を取っていたのだが、二人になると、そうも言ってい られない。特に「島の旅」では、一カ所の宿に連泊して、宿をベースにして行動 することが多いので、早めの宿の確保は必至というわけだ。
 幸いにも礼文に関しては、YHが家族部屋を取ってくれたので、決定。利尻は 、直前まで3連泊できる宿が無く、日替わりでの宿泊も覚悟したが、幸いにもキ ャンセルが出た民宿があり、そこに決定。
 初めて関空から出発。難波から関空へは南海のラピートαだ。足元広々、3 0分しか乗ってないのはもったいないぜ、と思うようないい電車だね。
関空からは稚内へ直行便、夏だけの運行だ。ちなみに429便というのはゴロ が悪いなぁ。
 関空を飛び立つと神戸・宮津の上空から日本海を飛行。 軽食は寿司かサン ドイッチの選択、私がすし・相棒がサンドイッチをもらい、交換しながら食べた が、どちらもつまらなかったなぁ。
 飛行機は、日本海沿岸に沿って飛行する。十和田湖や男鹿半島などよく見え た。
 稚内空港からは、バスで稚内港へ移動。船まで時間があったので、近くの稚 内ドームの下でやっていた「稚内いーべや祭」を冷やかす。 

礼文島へ

 稚内から礼文へ。礼文には香深と船泊に大きな港がある。最近まで船泊へい く船もあったのだが、現在は香深だけ。そのかわり空港は船泊に近いところにあ る。 稚内港の切符の販売は のーんびりしていて、出航が近づいているのに、 切符を買う人の列が途切れない。乗り遅れそうになり、けっきょく無札で乗船し 、船内で切符を買った。

礼文島に泊まる

 礼文島でのお宿は「船泊YH」です。礼文には「桃岩荘」というYHがあっ て、私が学生の頃から、歌って踊っての「ネジのはずれた」YHという評判でし た。今回は、そこだけは泊まるまい、と考えておりました。私の好みではありま せんし、今回の旅行で初めてYHにとまる相棒もおるわけで、ここでYHに嫌悪 感でも抱かれたら、これから一生、旅行についてきてもらえなくなりますからね (これから一生、YHに泊まるつもりなんだなぁ、俺って)。 香深港に船が着 くと、さっそく‥‥「もっもいっわそお〜」、と大声で連呼しては、大旗を振っ ているお兄さんがいるではありませんか。ボサボサ頭に破れたジーパン、分厚い ガラス眼鏡、とまるで昭和40年代からタイムスリップしてきたような方です。 うーむ、さすがに切れていますね。 逆に、船泊荘YHからは、物腰の柔らかな 銀縁眼鏡のお兄さんが迎えに来ており、名簿を見ながら、予約客の確認をしてお られました。「よかった船泊荘にして。」我々二人はホッと胸をなで下ろしたも のです。
 YHの車で船泊へ移動、家族部屋に荷物を置いて、近辺の散策に出かけまし た。
 帰ったら食事です。YHにしては立派な内容だったと思います。皿洗いがあ るのが、最近のYHとしては珍しいなぁと思いました。
この後です。どうも様子が変です。いや皿洗いは普通です。変なのは、半分以 上の宿泊者が、皿洗いジャンケン(負けた人がみんなの皿を洗う)をしてやけに 盛り上がっていたことです。あれ、さっき迎えに来てくれたお兄さんもいるぞ、 ということはお兄さんも宿泊者(常連)だったのか。 食後は食後で、花火をする といっては金を集めて廻ったりする常連もいました。   予感はミーティング で確信になりました。P代行の方の、観光案内に変な相づちを打つ一部常連。一 言一言でやたら盛り上がる一部常連、このYHも自分たちの世界を作っている方 々が支配するYHだったのです。そしてラストにギターで歌う歌う歌いまくる。 船泊YHは桃岩荘に負けず劣らずの「歌のYH」だったのか。しぇー!‥‥引い てしまいましたね。こういうノリが好きな人もいるわけですから、別にかまいま せんが、私は「もうここに泊まりに来ることはないだろうな」と思いました。  ただP代行の方は、しっかりした人で、漁業資源の保護など押さえるべきところ は押さえており(ウニの密漁はしてはイカンぞということ)、地元に密着したY Hであろうとする姿勢は評価できますね。‥‥とか書いてたら、このYH、今年 の秋にYHを解約して民宿になってしまいました。
 歌のミーティングのあと、YHが主催する「8時間コース(トレッキング) 」と「海馬島探検ツアー」の打ち合わせがありました。


島内観光

海馬島(とどじま)

 最北の島・礼文島のさらに北にある無人島が海馬島です。ここへ行くために は、漁船をチャーターする以外、方法はありません(泳ぐか)。YHからのツア ーも契約している漁師の船に乗せてもらいます。船はいつでも出るわけではなく 、波の静かな日に限られるので、海馬島に渡りたいがためにYHに何連泊もする 人もいるそうだ。 島は台地状になっており、島の周りは断崖絶壁である。少な い平地にニシン番屋が建てられているのみで、うら寂しい光景がひろがっていま す。断崖 に取り付けられたジグザクの小道を登ると、意外なほど平坦な頂部が あり、カモメがナァナァと鳴きながら飛び交うのみ。 我々のツアーは、頂部を 越えて反対側の浜辺へ出て、バーベキューをしました。あとは自由行動。道を探 して島の隅々を歩きまわるもよし、浜辺でごろんと横になるもよし。番屋と灯台 がある以外は何もないわけで、迎えの船が来るまで十分な時間が海馬島にはある わけですな。

スコトン岬

 最北端の岬。定期観光バスがやってくるので、お土産屋とか売店とかで賑わ っている。礼文で唯一(?)メジャーな観光地だ。 ここでは、イタチのような小 動物をつれたアベックがいて、少々たまげた。 ところでアゲイモなるものを初 めて食ってみた。ジャガイモのフランクフルトなわけだが、ジャガイモにつけら れたバターの塩味と かわの甘みが妙にマッチしていて美味かったぞ。家に帰っ て相棒に作ってもらったが、どうも再現できない。誰か作り方を教えてくれ。

スカイ岬

 島の北西にある。礼文のガイドブックに必ず載っているきれいな入り江がこ こ。 〔残念ながら小雨でいまいち〕

桃岩

 島の南西にある。桃の形をした大きな岩、というか山というか。 くだんの 桃岩荘はこの近くにある。

礼文林道

 礼文島の中央丘陵地帯の真ん中を貫く約8kmの林道。レブンウスユキソウ( エーデルワイス)の群生地があり、我々が訪れたときも咲いていた。

桃岩歩道(元地灯台)

 桃岩から島の南端の知床へ抜ける道。その途中にある灯台が元地灯台。晴れ ていれば利尻岳を眺める絶好のハイキングコースらしいが、我々が行ったときは 霧が出ていて、足元しか見えなかった。


礼文島で食べる!

ちどり

 偶然入った居酒屋「ちどり」だったが、実はツウの間では礼文一有名な店で あることが判明。ここのウリは「ちゃんちゃん焼き」だ。ちゃんちゃん焼きとは 、味噌のペーストを開いた魚にのせて、あぶり焼くというもので、一般にはサケ が使われる。この店は油の多いホッケを使って、強力な炭火で焼いていく。透き 通った魚の身が徐々に白くなっていき、味噌と薬味の香ばしい香りが広がってき たら食べ頃だ。
 これはうまい!ビールにも合うぞ。(昼間から2杯も飲んでしまいました)。
 またこの店はウニ丼もうまい。高めのバフンウニをご飯の上に乗せ、さらに ご飯とご飯の間にもウニをはさみ込んでいるのだ。グレート!ゴージャス!素晴 らしいぜ、ちどりのウニ丼!値段はちょっと高いけどね(3500円)。

野崎水産

 利礼航路のターミナルの近くに野崎水産という魚屋がある。ここではウニを はじめ、様々な海産物の販売をしている。また水槽があり、中にはウニがへばり ついている。ウニは礼文島周辺の磯にいて、簡単に取ることもできるけど、それ は密漁になるので御法度だ。この店では合法的に生きているウニを食うことがで きるのだ。 500円出せば一匹お買いあげだ。手のひらにのせると、意外と針 がやわらかいことが分かる。うにぃ〜と逃げだそうとするので、いい加減、観察 したら食べよう(まさか持って帰るわけにも行かないだろう)。店のにーちゃん に頼めば その場でさばいてくれる。 中央部のへこみ(ウニの口の部分だね)に ナイフを入れ、ひねるようにすると殻が開く。その殻のまわりに卵巣があり、こ こが食用になるところだ。「中身を取り出した殻を槽に戻したら、殻が閉じてま た新しいウニになります」と店のにーちゃんは、我々に もっともらしく説明し てから、「うそうそ」と付け加えて笑った。
赤ウニと白ウニ 礼文島で取れるウニのうち、オレンジ色をした方がバフンウ ニ、黄土色をした方がムラサキウニだ。これを赤ウニ・白ウニと呼んでいる。寿 司屋なんかで出されるのは、たいてい白ウニの方で、こっちの方が安い。赤ウニ の方が、こってりした味で私は好きだな。


 以上、 OH!WOO!! 1996年11月号より

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