竹富島

沖縄県八重山郡竹富町

石垣島の西6kmの地点にある周囲9kmの小さな島である。島全体が隆起珊瑚礁 のため平坦で、最も高いところでも20mしかない。戦後、島内から民家の保存 運動が興ったため、サンゴの石垣と赤瓦の屋根、そして福木の防風林といった沖 縄の伝統的な民家が多く残っているところである。ホテルは一軒もなく、旅館が 一軒、あとはすべて民宿である。東桟橋には石垣島からの高速船が30分〜1時 間おきに発着し、八重山諸島の中心地・石垣島からわずか10分である。交通の 便が良いことと、ホテル等近代的な宿泊施設が無いことから、多くの観光客は日 帰りで竹富島に立ち寄るけれども、ぜひ宿泊してゆっくりとした時間の流れを感 じてほしいと思う。島内の交通は、徒歩・レンタサイクル(または民宿の自転車 )がメイン。桟橋から島の中心にある集落までは歩いて15分ほどだが、たいが いの民宿は車で迎えに来てくれる。

1.島内散歩

 集落は島の中心部に一つ。面積としては大したことはないが、細い道が幾筋 もあるので、けっこう広く感じる。公民館のあるあたりが島の中心地で、雑貨屋 や郵便局もある。

 この島は何と言っても集落全体が美しい。突き当たりの道路には石敢当。民 家の屋根は漆喰で塗られた赤瓦にシーサー、門はヒンプン、庭には福木と、これ ぞ沖縄集落!といった感じだ。島内の道は未舗装で定期的に白砂がまかれており 、赤瓦の民家、サンゴ石の石垣と相まって、実に美しい。島内の保存運動の成果 だが、倉敷のようにわざとらしい作られた感じがしないのがよい。
 新田観光や丸八といった地元の観光業者が水牛車を使った島めぐりを実施し ている。

 2.コンドイビーチ

 竹富島の海水浴場。白い砂浜とかなりの遠浅が人気だ。ここに来るためのツ ァーが石垣からたくさん出ている。潮が退くと波形の砂模様のついた真っ白い砂 地が現れる。

 パラソルを借りる。潮が退くと現れる中州で張るのがミソだ。人が少なくて 気持ちいいぞ。 一通り写真を撮って泳いだらあとは浅瀬で昼寝だ。 今回の旅 行の目的の一つは「とにかくゴロゴロする」こと。水の中で太陽の光と熱を感じ て、うたた寝する気持ちの良さ。これを知ってしまったら、あちこち忙しくうろ つき廻る旅行が出来なくなってしまう。 旅行者にとっては危険な快感だ。




 

んだんと潮が満ちてくると、まず耳が水に浸かり音が聞こえなくなる。続いて 目が、次に口が水中に浸かる。そして鼻がふさがれる頃、体が波に揺り動かされ ようになって勝手に浮きだす。波のまにまに漂うというのはホンマ気持ちいいも んでっせ。

3.東の岬

 コンドイビーチがたいへん有名なのに対して、ちょうど反対側の東の岬付近 はあまり知られていない。実はここも素晴らしい所なのだが。 この岬付近は砂 嘴が発達していて、干潮時になると姿を現す。海の向こうに石垣島の街並みが見 える。雲がかかっているのか暗い。対してこちらは、まばゆい太陽とエメラルド の海、真っ白い砂。実に対照的だ。

 コンドイに続けてごろごろする。 水深10cmくらいの浅瀬の中で、砂を集 めたテーブルをこしらえて、持ってきたフランスパンやカロリーメイト、水で昼 食とする。実に愉快だ。

東の岬にて脳天気な筆者


4.星砂の浜


 岬の南側は潮の流れが速いので遊泳禁止になっているが、かわりに星砂が取 れる。星砂というのは有孔虫の死骸で、星形をしているのでそう呼ばれる。沖縄 の土産物として有名である。ここは浜全体が星砂というわけではなくて、砂の中 に混じっている程度らしい。ティナさんが工事をしているおっちゃんに聞いた話 では、濡らした手のひらを砂に押しつけ、その中から集めるのだそうだ。確かに そうやってみるといくつか見つかる。場所によってたくさんあったり無かったり 。だんだん面倒くさくなってきて、持っていたフィルムケースに砂を入れて持ち 帰った。まさに玉石混合。大阪に帰った今でも未だケースに入ったままだ。

5.喫茶店

 東の岬へ行った帰り、民家の軒先を利用した喫茶店に寄った。 3人で「シ ィクァーサー」や「パッションフルーツ」のジュースを飲む。店のおばちゃんは 愛想がよい人で、いろいろ話しかけてくる。またモンキーバナナやらドーナッツ のような揚げ菓子を振る舞ってもらい、腹一杯になってしまった。食べきれない 分は土産としてもらった。 店のおばちゃんは石垣の人で、今日は親戚の女の子 が遊びに来てるので、これから最終の高速船で石垣に戻るんだ、とうれしそうに 言った。 そして我々がご馳走をいただいている間に、店を閉める準備を始めた 。う〜ん、このご馳走は在庫処分?いやいや好意は素直に受け取っておこう。

6.はじめての泡盛の洗礼

 かなり以前に竹富に来たときの話。竹富に来るまでは雨だったが、着いたと たんお天気になり、気を良くして雨上がりの景色を撮りまくった。 当日電話し て宿泊をお願いした野原荘は、赤瓦の民家そのままの民宿だ。食事場でネズミが 出てきたら、ばぁさんが銛を持ち出して突き殺すという、なかなかワイルドな出 迎えとなった。

 同宿は茨木市の一家四人。ここのとーちゃんが、昔からよく竹富に来ていた らしく、常連さんらしい。アメリカ統治下での八重山の様子やら、子供さんの進 路の話やら、色々な話をしながら夕食を取った。話が弾むにつれて泡盛を飲むピ ッチも高まり、ぐいぐいやるうちに、だんだん何を話しているのか分からなくな った。恐ろしいことだ。

 次の日は完全な二日酔い。昼過ぎまで起きあがることすら出来なかった。

 私,前後不覚になるまで酒を飲んだのはこれを含めて2回だけ。ある程度ア ルコール分解には自信を持っていたのだが‥‥不覚じゃ。一般に蒸留酒は悪酔い しないというけれど、飲み過ぎれば同じこと。みなさんも泡盛の飲み過ぎには注 意しましょう。

7.竹富のホタルとこわい話

 次の夜、茨木のとおちゃんが、蛍を見に行きませんかというので、出かけた 。街灯が無いので、50mも歩けば真っ暗だ。ところが真っ暗な道沿いが、とこ ろどころ、ぼわーと淡く光る。近づいてみるとゲジゲジのような虫の尻尾の先が 光っている。「これが竹富のホタル虫ですよ。」と、とおちゃんが言った。

 ひょんな事から怪談話になった。 夜中、バイクで港に向かっていると、な ぜかエンジンが止まるんだそうな。で周りを見ると女の人が立っているんだと。 多くの人が見ているという。「私も見たから。」と、とおちゃんは付け足した。 でもそれよりも恐いのは、古い慣習だそうで、ここで詳しくは書かないが、離島 にはムラ社会の構造がいまだ残っている。良い面もあるが悪い面もある。そうい う話だった。

様々なシーサー達



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