ウブドゥマイ浜

与那国島


 与那国島は石垣島からさらに西へ127km。台湾まで125kmの地点にある 。もちろん日本最西端の島であり、国境の島でもある。石垣からは空路が日本ト ランスオーシャン航空1日に2便。航路は福山海運フェリーが週に2便。


レンタバイクで島内一周
 旅行先の島の規模によって、アシを何にするかが決まる。
 今回、与那国島では、比較的広いこと(1周27km)、1泊しかしないこと 、アップダウンが激しいこと等からバイクを借りることにした。
 宿で4km離れているレンタバイク屋に電話してバイクを持ってきてもらう。 わざわざ店にまで行かなくてすむのは助かる。27時間借りてガス代込みで50 00円。高いかな?
 与那国島はほとんどバスがないし、歩くわけにもいかんしねぇ。免許は必携 だね。

日本最西端・西崎
 与那国島の西の端は「西崎」と書いて「いりざき」。
 東は「上がる」、西は「入る」。太陽の動きを元にした沖縄共通の方言だ。 この西崎は、岬の根元の久部良漁港から、急坂を上り詰めた先にある。まさに岬 の突端といった感じだ。『日本国最西端之地』の碑と巨大な蛾「ヨナクニサン」 を屋根に模した展望台がある。
 ここからは台湾が見えるというが、天気が良すぎたためか、私が行ったとき は茫として何も見えなかった。しかし日本最西端といっても大して感慨は無いな ぁ。国境線が無いからか、他国が見えないからか、国家という概念を実感できな いからか。


南牧場
 島の南西は崖になっていて、その上は広い平地になっている。耕作には不向 きなのだろう、放牧場になっている。ここでは主にヨナグニウマが放牧されてい る。ここも気持ちの良い景色が広がる。


東崎
 与那国島の東の端は「東崎」と書いて「あがりざき」。
 ここでもヨナグニウマが放牧されている。
 駐車場から灯台までは岬全体が芝生になっていて、雲と空と海と大地がいっ しょくたになった不思議な感覚がする。

サンニヌ台
 NHK『琉球の風』の結婚シーンのロケ地として有名(らしい)。 風化と波の浸 食によってできた自然の展望台だ。ここから海を眺めると、『軍艦岩』がある。 軍艦というよりは潜水艦といった感じだが。 また少し西には『立神岩』もあり 、このあたりは、観光スポットが点在している。

ティンダバナ 
 波照間でもっとも大きな集落・祖内の背後にある。祖内を見下 ろすかのような巨大な岩山である。
垂直に切り立った崖。サモア島のモアイを巨大にして置いたような感じ、と 言って分かってもらえるかな。
 この山に登るには、集落の反対側から回り込むように行く。何の案内もない が、無線の中継基地を目印に行けばいけるだろう。そこから集落に戻る方向へ草 むらをかき分けていくと、海が見えてきて、急に風を感じたら、足下がストンと 崖になっている。手すりも柵もない。背後から押されたらひとたまりもないだろ う。尻が窄む思いがする。むちゃくちゃ危ない所だと思う。
 しかし、崖から下を覗くと祖内の集落が見える。飛行場も見える。東崎も見 える。与那国島でもっとも景色の良いところと言えるだろう。

悲しい歴史
 薩摩藩が支配した時代から明治36年!まで、人頭税といって、島ごとに、 年貢を人数に応じて徴収するシステムがあった。そのため、与那国島では人減ら しのため悲しい制度を設けていた。
 1.クブラバリ(久部良割) 久部良港を見下ろす高台にある。幅3〜5m の岩の裂け目。妊婦を集めてはこの岩の裂け目を飛ばせたという。妊婦は転落す るか流産することが多かったという。

 2.トゥングダ(人舛田) 祖内と比川の間にあった田。15〜50歳の男 子を非常召集し、この田の中に時間内に入れなかった老人などを殺したという。


60度の泡盛
 唯一、与那国島だけが作れる酒としてアルコール度数60度の泡盛(花酒) がある。具体的には『どなん』と『舞富名』である。
 普通の泡盛が20〜30度だから、2倍以上のアルコールが入っているわけ だ。値段も30度のモノの2倍するが、これは、アルコールを含む割合が高くな るほどアルコール臭くなり、味のバランスを取るのが難しいためだという。

 『花酒とは‥‥泡盛製造過程で最初に得られる純度の濃いきわめてアルコー ル度数の高い貴重な酒類です。花酒は泡盛と全く同じ原材料と製造法ですが、ア ルコール度数が45度を超える場合は酒税法上、原料用アルコールとなります。 (「どなん」ラベルより)』
 う〜ん、泡盛の一番搾りというわけか。しかしなんか原料用アルコールとい う分類はぴんとこないなぁ。

民宿『はいどなん』‥‥日本最西端の宿
 与那国島の最西端の民宿ということは日本最西端の民宿ということでねぇ。 当たり前か。
 『はいどなん』というのは、与那国の別名らしい。ドナンは「渡難」の意で 、昔は今以上に辺境の地だったのだろう。
 さて、この民宿、洋室も和室もあり、クーラー付きとか風呂付きとかによっ て料金が変わってくる。私は洋室クーラー付きをお願いする。2食付き5000 円。この値段にしては非常にきれいな民宿である。

カジキマグロの刺身
 同じ飛行機でやって来た人が、前の漁港でカジキマグロの刺身を買ってきた 。「一緒に食べませんか」というので「ほんじゃ、ビールでも」ということにな った。食堂でビールを飲みながら八重山の観光地の話をする。
 宿のご主人(女性)とも雑談を交わす。訛りがないから「どちらの生まれで すか」と聞いたら「北海道の旭川です」ということだった。北海道で育って最西 端の与那国で民宿を経営するまでに悲喜こもごもの人生ドラマがあったのだろう なぁ、などと勝手に想像しつつマグロを食ってビールを飲んだ。

ウブドゥマイ浜は与那国イチです
 この浜は東崎の手前にある。
 ひじょーに美しい浜である。
 飛行機からよく見えるのだが、整備された道路や案内板がないことと、たい へんきつい坂を下りなければならない(もちろん帰りは上りだ!)ので、ほとん ど人は来ない。
 行ってみたいと思う人は連絡ください。行き方教えたげます。ここはオススメ。

ってことを書いてたら多くの方から質問や訪問したというメイルをいただきました。
なかでもウブドゥマイ浜の現状をお知らせいただいた 野村元成さん、写真を送っていただきありがとうございました。
下の2枚目の写真が2000年5月現在の浜へのアプローチです。私が訪ねた頃とは雲泥の差です。これなら車ででも行けそうですね。
 ちなみに以前このページでウブドゥマイ浜を「東泊浜」と表記していましたが、「大泊浜」ではないかというご指摘も野村さんからいただきました。私がこのページを書いた頃の「やえやまGUIDEBOOK」に「東泊浜」という記載があったのでそのまま掲載しましたが「大泊浜」の方が正しいようです。
>浜の近くに与那国町が出している看板は「大泊浜」に 「ウブドマイ」というふりがなをつけていました
ということです。
 ちなみに行き方は‥‥祖内から東崎(あがりざき)に向かう道路は最終的に1本になり、上り坂になります。 (私の記憶間違いでなければ)ある程度登りきったところで左側に海に向かって下りる道があると思います。

ウブドゥマイ浜から海を眺める

2000年5月現在の浜へのアプローチ
かなり東崎へ近いところへ下りていくようです。
私が1995年に訪れたのはもっと西よりのようです。
(左欄の下から3枚目の写真と比較してみて下さい)

『OH!WOO!!』 1995年11月号より転載
 2000年6月 追補


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