ただの地下鉄だと思ったらイタ〜い目あうんです!

(OTSに乗ったぞ記)

 OTSとは、海遊館で有名な地下鉄中央線の終点「大阪港」と、インテック ス大阪で有名なニュートラムの終点「中ふ頭」を結ぶべく作られた(1997.12.18) 鉄道なんだ。
 しかし、ここで、ただの連絡鉄道だと思ったら甘い。
 何が甘いって?それはこの項をすべて読んだときに明らかになる。
 OTSでイタ〜い目あわないためにも、ぜひご一読を。

■ OTSってなんだ?

 最初、何の略か全然わかんなかったぞ。しかし大阪人として、これくらいは 常識として知っておきたいものだね。
 まぁ[O]は「大阪」だとしてもだ、残りの[TS]は何なんだ?
   TSUTAYA書店(ちゃうやろ)
   テキスタイルセンター(それは船場やがな)
   トレジャーセンター(ジャンク屋かい)
   トレインシミュレーター(電車でGO!かい)
 違います。
 OTSっていうのは、大阪港トランスポートシステムの略なのだ。
 まぁこの略語の語源を言える人はまだ少ないだろうから今のうちに友達に自 慢しよう。

 ちなみにOTSの駅は、大阪港・コスモスクエア・トレードセンター前・中 ふ頭の4つ。大阪港は中央線の駅、中ふ頭はニュートラムの駅だから、新しい駅 は真ん中の2つということになるね。

■ 構造の違う二つの鉄道を連絡している

 鉄道会社が変わったら乗り換える。これは常識だ。大阪は私鉄同士が「相互 乗り入れ」するケースが多いので、あまりピンとこないかもしれないが、それぞ れの鉄道が独自の規格で線路を引いているわけだからね。
 だがOTSは違う。
 中央線からやってきた列車はそのままOTS内に乗り入れる。
 ニュートラムからやってきた列車もそのままOTS内に乗り入れる。
 このままじゃ途中でぶつかりますわな。
 ぶつからないように、途中の「コスモスクエア」駅で立体的に交差している 。

 乗客はここで乗り換えるのだ。つまりOTSは「コスモスクエア」駅を挟ん で構造の違う二つの鉄道を所有しているのだ。
 路線名も、大阪港〜コスモスクエア2.4kmが<テクノポート線>
コスモスクエア〜中ふ頭1.3kmが<ニュートラムテクノポート線>というふうに分 けられている。
(路線図参照)

 はじめは全区間がニュートラムの規格で建設される予定だったらしいぞ。
 ところがなんで現在のような「途中で乗り換え」構造になったかというと、 今後、中央線側がさらに海浜緑地駅まで延伸する計画ができたためなのだ。今は 一つながりの路線として見えているけど、いずれはT字型の路線になるというこ となんやね。


■ ATCへのデートにはご用心

 次に料金の話だ。
 OTSは地下鉄とは違う料金体系をとっている。
 OTS内を通過するためには、230円が必要だ。
 この鉄道は、途中乗り換え構造のため、「乗り換えの区切り」と「料金の区 切り」が違う。ここは要チェックだ。
 乗客としては、途中までOTSという違う鉄道に乗り換えているという実感 がない。今まで乗ってきた列車にそのまま乗っているだけなのに、急に料金が跳 ね上がる区間がある、という感じになるのだな。ATCへのデートは御用心だ。 ニュートラムの中ふ頭から一駅乗り越すだけで200円ほど料金が跳ね上がって しまうぞ。二人で往復すれば800円。これでお茶代くらい出るというものだ。 ATCに行くなら中ふ頭から歩こう。
 地下鉄(ニュートラム)1区+OTSは40円引き、地下鉄(ニュートラム )2区以上+OTSは20円引きという乗り継ぎ割引はあるとはいえ、OTSは ちょっと高い気がするかねぇ。(下 乗り継ぎ図参照)

 ATC OTSに賢く乗って楽しく遊ぼう

■ 海があるんです

 実は、これがOTSの一番の見どころ(っていうか乗りどころ)なんですが 、大阪港とコスモスクエアの間です。
この間は海なんです。
 もちろん水中を列車は走れませんので、大阪港咲洲トンネルっていうのがあ るんですが、こいつのすごいところは、「海底トンネル」じゃない、ということ です。
 「海底トンネル」じゃないのに、海を渡るトンネル? なんじゃそりゃ?  ということで、 建造にあたった会社のホームページ をみましたよ。
 『世界でも稀な、合成構造方式沈埋函の導入』だそうです。難しいですな。
 『大阪港海底トンネルは(中略)沈埋部は延長約1kmで、大阪港の主要航路 にあたり大型船の通行のため、水深約20m のところで、長さ100m の沈埋函 を10函、港区側から順次沈設し連結させたものです。沈埋函の断面は、高さ8 .6m 、幅35.2mと巨大なものです。(中略)大阪海底トンネルでは、日本 初、世界でも稀な合成構造を採用しています。』『合成構造とは、沈埋函の外周 の鋼板を防水機能だけでなく、強度部材としても有効に活用しようという発想の もとに、コンクリートと鋼板をずれ止めを介して一体化させたものです。』だそ うです。(図参照)
 まぁ、要は、でっかい中空の角材を沈めていって繋げた、と。さらに従来と は違う「合成構造」という手法を採っている、っていうことですな。なんかわか んないけどすごいね。
 で、列車に乗ってみると、トンネル部分では、ガラス張りになっていて、き らめく水面、魚の群れ、タイやヒラメの舞い踊りなど、海遊館なんてメじゃない ぜ!みたいな景観が見れたらいいんですが、残念ながらただのトンネルです。で も海底チューブの中を列車が走ってるなんて、なんとなく「未来」的でいいじゃ ないですか、ねぇ。 

■ おまけ 地下鉄一日乗車券の精算は?

 今回の取材は、大阪市内を回るということで、「大阪市交通局」の一日乗車 券を購入した。OTSの「トレードセンター」駅から乗車した我々は、地下鉄と の境目・「大阪港」駅の通過チェックが一日乗車券に記録されないことに不安を 覚えながらも、それぞれの帰路についた。とくに中央線から近鉄に乗り越すSや、御堂筋線から北急に乗り越すMやT夫妻は心配であったことだろう。結論か らいうと、

 S‥『終点の生駒では,駅員が地下鉄の1日乗車券をレインボーカードと 勘違いされて,とんちんかんなことを言っていたものの,まずは難なく通過でき た』
 M‥『本町の改札を通過したが、なんともなかった。』

どうやら一日乗車券 は降りる駅のチェックしかしていないようだ。ってことは、‥‥おっとっと。

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