高山病症状
朝食はハムエッグ、ご飯・味噌汁。ご飯味噌汁はおかわり自由。だが私以外は食欲が無い。
相棒と上娘は吐き気や頭痛など高山病の症状が表れている。昨日の段階でもかなりあったと思うが、夜寝ている間に症状が悪化した。
高地順応には意識して深い呼吸(とりわけ息を吐ききること)が大切と言われているが、就寝中はどうしても呼吸が浅くなる。このため寝ている間に高山病症状悪化することは多いらしい。それは分かっていたので、昨日のうちにムリめでも登頂してしまうというプランも考えていたのだが‥‥仕方なし。
下娘も疲れが取れずあまり登頂はしたくないようである。
どうするか。朝食の後、屋根裏部屋で輪になって家族会議である。
ここで今回の登山旅行における私なりの目標を記しておく。
・もちろん富士山の頂上への登頂である。これは学生の頃からぼんやりと一度は登ってみたいなぁと思っていたことだ。
・家族全員で登頂したい。これは子供が生まれ、成長するに従って強く思うようになってきた。
ここにいたって、家族全員での登頂はムリである。
富士山のムック本などを読むと、高山病や疲労過多でも休み休み時間をかけて登ったという例もある。しかしそれは各自に登頂への強い意志がある場合である。うちはそこまでは思っていないし、体調が悪化することが分かっていることをさせたくはない。
最後まで登れなかったという無念さはあるかもしれない。しかしそれ以上に得たものは多かった。
丸一日かけて山登りをしたこと、少しずつでも歩を進めればいつかは目標の山小屋まで着くこと、予行で登った宝永山を遙かに見下ろす高地まで来たこと、影富士やご来光を見ることができたこと、気圧の変化、高地の息苦しさ、夜・朝の寒さなどを体感したこと、ここにいなければ実感できないことばかりだ。
十分じゃないか。
普段全く運動をしていないメンバーが3300mまで登れたこと自体ががんばったことだと思う。
さて、私自身である。
家族を引き連れてきた以上、ここまでで十分だと思っているのなら一緒に下山に向かうべきである。これが家族を主眼にしたら当然である。
ただ、私は単独でも登りたい、という気持ちを偽ることができない。
ただでさえ普段から身体のあちこちが痛い人間である。いつ普通に歩くことさえできなくなるか分からない。自分に残された時間は体力的にはもうあまりないのかもしれない。そう思うとこのチャンスを逃がすことはできない。
正直に家族に自分の気持ちを伝えた。
その結果、私は登頂、その間に3人は7合にある砂走館まで下りて休憩してもらうことになった。
砂走館は泊まった赤岩八合館と同族経営の山小屋であり、休憩をさせてもらうことをお願いした。
6:40 家族と別れ、私一人山頂を目指す。
山小屋を出るとつづら折りの急坂である。スタートからキツいが昨日の家族で登ったときと同じゆっくりペースで登る。
見える景色が変わらないのに高度だけ上がる感じが不思議である
7:10ごろ 20分ほどかかって八合目跡地に着く。たった1勺登るのに20分!
このペースだと頂上まで何時間かかるのだろう?
7合で待たせている家族のこともあるし、若干ペースアップした。
広角レンズのパノラマなので誇張もあるが、地平線の丸みを実感できる。
下山してきた初老の方に富士宮ルートへの道を聞かれる。なんでも富士宮ルートで登ってきたのだが、あまりの急坂にとても下山はできないと思って御殿場ルートで下りてきたとのこと。富士宮8合へのトラバースは昨日通過したので、詳しく教えることができた。また御殿場6合から富士宮6合へのいわゆるプリンスルートもついでに教えておいた。時間はかかるが、下山のしやすさからいったらプリンスルートだろうと思うからだ。
さて、8合を出発して約1時間、いつまで経っても9合の標識が出ない。8合-9合-9合5勺-頂上という富士宮ルートのイメージで登っていたので、なかなか9合が表れないことに焦りを感じていた。
ところが、どうやら標識など無かったようで、気がつけば山頂の鳥居が見えてきた。見えた段階では未だ山頂とは信じがたく、ようやく9合?と思っていたのだが、鳥居が近づくにつれ、その向こうは青空のみである。あれ?半信半疑のまま鳥居をくぐると、あっさり御殿場ルートの頂上に到着した。
8:05 御殿場ルート頂上(3730m)に到着
標準タイムでは8合~頂上は90分なので、1時間足らずで登ってしまったのはけっこうハイペースだったのかもしれない。
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