9月23日早朝から24日深夜までの1泊2日で鹿児島に弾丸旅行してきた。
出発
朝7時関空発のピーチ便に乗る。今回はふるさと納税の返礼品としてのピーチポイントを使ったので、5000円くらいで鹿児島往復だ。
行きは順光になるように右側の席を指定した。
← 窓から見えた
「ブロッケンの悪魔」
円盤状の虹の中に飛行機の影が見える。
レンタカー
事前に予約していたタイムスレンタカー。空港のレンタカーコーナーへ行き連絡してもらい迎えに来てもらった。クルマは1500ccクラス[マツダアクセラスポーツ]を予約していたが、貸与された車はスバルインプレッサだった。普段マツダアテンザに乗っているので、アクセラに乗ってみたかったんだが…。本当に強く希望するなら事前に予約すべきだな。まぁインプレッサも興味のあるクルマだったので良しとしよう。
池田湖
九州自動車道・指宿スカイラインに乗って一気に池田湖へ。
池田湖は九州一の大きさの湖で、火山の噴火によってできた凹地に水がたまってできたカルデラ湖である。恐竜のようなUMA「イッシー」で有名。またオオウナギの生息でも有名で、ドライブイン「池田湖 パラダイス」にある展示水槽で見ることができる。あまりに大きくて残念ながら旨そうには見えない。
なぜか甲冑の販売も |
番所鼻
続いて薩摩半島南端の頴娃(えい)町へ。ダイハツのCMで有名になったタツノオトシゴハウスがある番所鼻が次の目的地である。ちなみに鼻というのは岬ほどでは無いけれど海に飛び出した地形などに使われる言葉で、「崎」「碕」などと同義語と思われる。
ここではまず円を描いたリーフ状の地形を見ることができる。案内板では「海の池」と表現されていて「竜宮城への入り口」という伝説が残るそうだ。成因は爆発火口に海水が流れ込んだもので、池田湖と同じ火山の跡である。
遠くに開聞岳が見える | 伊能忠敬が絶景と賞賛した |
つづいて「タツノオトシゴハウス」へ。ここはタツノオトシゴの観光養殖所とのことで、水槽見学をメインにした喫茶店兼お土産屋である。ダイハツのCM中に、水槽の中に手を入れてタツノオトシゴのしっぽが巻き付いてくるという映像があったが、実際には水槽に手を入れることはできない。CMにも小さく特別に撮影している旨を表示しているようだが、小さくて気づかんわな。まぁそれでも十分にタツノオトシゴの生態を学ぶことはできて楽しいスポットであることに違いはない。
タツノオトシゴは水槽の中にうようよいて、おのおのが上下に揺れながら水平方向に移動している。他の個体と近づくとしっぽを絡めて挨拶するような仕草をする。こんな習性があることは初めて知った。
問題のCM | ※特別に許可を得て撮影 と小さく書かれているが |
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うようよいる | 店内の様子(見学無料) | 鹿児島県を逆さまにすると |
寿司ランチが800円からある。写真は1200円の寿司ランチ。
台風の影響で漁ができず、地元の寿司ネタが無かったとのこと。まぁ輸入物のサーモンや養殖物のハマチもおいしかったから良い。
長崎鼻
続いて指宿市山川の長崎鼻へ。ここは開聞岳のビュースポットである。実家の家族旅行で立ち寄って以来30年ぶりである。好天で汗ばむほどになってきた。断崖から見下ろす海の色がきれいである。車を止めた土産屋で土産を買い込んで出発。
これが30年前の写真 | 今回の写真 | |
潮だまりに灯台が映る | 乙姫様を祭る竜宮神社 | 珍百景に取り上げられた看板 |
地熱発電所
山川町内の九州電力・山川発電所へ。ここは地熱発電所であり、地熱発電所として全国5位の出力3万kWの発電量を誇る。館内の展示見学だけで無く、随時構内の案内もしてくれる。予約はしていなかったが、ちょうど来ていた小さなグループとともに案内をしてもらった。
九州電力HPより | タービン | |
蒸気井(せい) 地下2000mくらいから蒸気を取り出している。 |
引き込みパイプ 曲げてあるのは熱で延びることを防ぐため。 |
冷却棟 中では熱水が滝のように落ち、その間に空気で冷やされるしくみ。 |
砂蒸し風呂
最後は砂蒸し風呂へ。地熱発電所から車で5分とかからない海岸沿いにある。
入湯料を払い、裸の上に浴衣を着て、頭を置くためのタオルとカメラをもって砂浜へ。
所定の場所に寝転がると二人がかりでスコップで砂をかけられていく。熱くないですか、と聞かれるが、そりゃ熱いよ。「ちょっと熱めのお風呂程度なら普通」とのことなので我慢する。けっこう砂が重く、じんわりと熱と圧力を感じる。10分から15分といわれたので15分きっかりに砂から起き出したが、他の人はけっこうゆっくりしていたな。砂から出るとぬるめの浴槽があり、出ると最初に着替えた脱衣所に戻るようになっている。
砂蒸し場から階段を上り高台に出ると塩田工場の跡地があった。
スタッフさんが撮ってくれた | テントの下が砂蒸し場 | |
海が近い | 高台に上ると塩田跡 |
渋滞ドライブ
今いる場所は薩摩半島の南端である。本日の宿泊地は対岸の大隅半島の付け根にある志布志市にある。時刻は午後4時を回ったところで、フェリーで対岸の根占港に渡って、そこから1時間あまりで志布志に着く予定であった。だが…フェリー乗り場の山川港に着くと船も船待ちの車も見当たらない。フェリー待合室に入ると職員が掃除をしつつネコとじゃれている光景に出くわした。どう見ても店じまいの雰囲気である。どうやらフェリーの最終便の時刻を間違えていたようだ。つまり、もう乗るべきフェリーは無い。他に大隅半島に渡る手は無いかと聞くと鹿児島市の鴨池港から出ているという。ここから北方へ70km先である。速さを取るなら往路の指宿スカイライン・九州自動車道を通って鹿児島湾をぐるりと捲くように直接志布志に向かうのが早いのだが、「フェリーでのんびり」ってイメージができあがっていて、今から車を3時間も走らせる気にはなれなかったので鴨池港を目指すことにする。しかしこれが失敗であった。
国道10号線を北上する。がらがらの田舎道という勝手なイメージとは真逆で、コンビニがひっきりなしに現れるほど交通量の多い道であり、市街地に入るごとに渋滞する。けっきょく鴨池港に着いたのが午後6時。既に日は落ちている。午後7時前のフェリーに乗り、対岸の垂水港に着いたのが午後7時30分、そこから志布志までの山越えの県道が台風で通行止めだったため、国道で大迂回をして宿に着いたのが午後9時。けっきょく当初の予定より3時間も遅い到着になってしまった。楽しみにしていた宿の近隣の温泉施設も、そこでの夕食&ビールもナシになってしまった。この日は、見所を効率的に上手に回った気になっていただけに、このラストは無念である。
2日目
温泉とウッドデッキでのんびり朝タイム
朝、6時を待って近隣の温泉施設「蓬の郷」へ。朝風呂も良いものだ。
部屋のウッドデッキから 撮影した朝焼け。 |
木をふんだんに利用した高天井構造で開放感がある | お土産や地域野菜などの 売店も充実 |
ちなみに宿泊した民宿は楽天トラベルの「泊まって良かった宿ランキング一位」となったところである。今回の旅行ルート的には不便な場所なのだが、どんな点が優れているのか実際に泊まってみたかったのだ。結論、ランキング一位は伊達では無かった。きれいに清掃された広々とした和室(一人の宿泊なのに2室続き部屋)、南向きの広いウッドデッキ、湯茶お菓子果物のサービスに、近隣の温泉施設無料利用、清潔さを感じさせる羽根布団などのリネン類、などなど。これで一泊3400円。
2室続きの和室 | 広いウッドデッキ | 朝風呂のあと ロッキングチェアに。 珍しくセルフショット |
桜島へ
二日目は大隅半島と地続きの桜島へ向かう。志布志は東の太平洋側なので、西の鹿児島湾側まで国道220号を1時間半のドライブ。
あちこちで台風の爪痕が散見した。河口付近では氾濫による浸水のためか町全体が砂埃におおわれた地域があり、玄関脇には土のうが積まれたままであった。写真のようにコンビニの看板も吹き飛ばされたようだ。他にもここに限らず今回のドライブ中あちこちで50cm程度に切られた木の枝や幹が集積されているのを見たが、それは倒れた樹木を回収しやすいように切って集めていたものだったようだ。また鹿児島湾側と志布志を結ぶ県道は通行止め、今通っている国道220号線も桜島から先は通行止めである。予定では桜島を一周してからそのままこの国道で霧島温泉に向かうつもりだったのだが仕方なし。
鹿児島湾に出てしばらく北上すると桜島が見え始める。国道からそれた脇道から撮影。
桜島では東側にある黒神埋没鳥居などを見つつ、反時計回りに桜島港へ。途中いくつも噴石避難用のシェルターや脱出港への案内があった。また島内の小中学生は必ず通学時にヘルメット着用とのこと。桜島に住むということは毎日噴火と向き合うということなのだ。
火山灰で埋没した鳥居 | お墓にも屋根がある |
ビジターセンター
桜島港脇にあるビジターセンターでお勉強。私は火山博物館のたぐいは外さないようにしているので、今回の行程でもここはマストである。一通り展示物やありがちな大画面での映像を見たあと、有料の溶岩ミニトレッキングという学習ツアーに参加した。私以外は小学生二人を含む家族連れだけだったので、内容が子供向き過ぎたのは残念だったが、まぁ一通りの噴火の様子や溶岩の特性、植生などを学ぶことができた。内容の一つに普通の溶岩(黒色)と軽石(白色)を同時に海に投げ込むという体験があった。どちらも小石なので軽いのだが、溶岩は沈み軽石は浮くという結果は、当然のごとく頭ではわかっていたことも、やってみて目の当たりにすると面白いものだと改めて思った。体験は印象に残りやすく記憶を強化する、という学習法則どおりである。
すこし地学的な話をしよう。鹿児島湾(錦江湾)は薩摩半島と大隅半島に挟まれた海なのだが、部分的にかなり深い部分があり、この成り立ちがなかなか複雑で面白い。
この地域には東西に引っ張る力が働いており、現在の湾の西側と東側に正断層が生じてる。そのため現在海になっている部分が地溝と呼ばれる低地となっている(右下図)。また地殻変動によりマグマが噴出しやすく、過去に3つの火山ができカルデラを生じた。それらの火山跡ごと低地となり海水が入り込んで湾になったのが現在の鹿児島湾、というのがこの地形ができたシナリオのようだ。
桜島を南端とした北部(湾奥部)が姶良カルデラと呼ばれていて深いところでは水深200mあり、日本の内海としてはかなり深度が深いらしい。ちなみに桜島はこの地溝帯としては新しい火山である。また大正時代の噴火により大隅半島と地続きになったのは有名な話である。
海上保安庁海洋情報部より | 正断層により中央部がへこむ(地溝) |
再び薩摩半島へ
前述のように桜島から北へ上がる国道が通行止めなので、フェリーで薩摩半島へ渡り北上することにする。出港から15分で対岸の鹿児島へ。
桜島をあとに |
鹿児島市内は路面電車も走っていて撮影などしたいところなのだが、残り時間も限られているので、すぐに九州自動車道に入り霧島温泉を目指す。
龍門の滝
途中、高速道路からの車景に唐突に滝が現れたので加治木ICで下りてみる。日本の滝百選にも選ばれている名瀑「龍門滝」である。ふつう滝といえば、渓谷の奥地の薄暗い場所に控えているものだが、この滝は普通の民家や学校のある町の山手に忽然とあり、明るい。たいそう違和感があり、ゲームのバーチャルな世界のようであると感じた。
滝壺近くまで近づくと轟々とした音とともに細かいしぶきが飛んできてカメラを濡らす。
事前にチェックしていなかっただけのことだが、旅先での発見というのは嬉しいものである。
町中に唐突に滝がある |
けっこうな迫力である |
霧島温泉さくら湯
最後の目的地・霧島温泉へ。今回の旅行は砂蒸し風呂に、朝風呂に、最後に露天温泉と温泉づくしである。また昨年の北海道弾丸旅行では最後に登別温泉に行っているので韻を踏む意味もある。
訪れたのは日帰り入湯できるさくらさくら温泉「さくら湯」。ここは写真のように霧島温泉らしい濁り湯であり、泥パックができることで有名である。泥パック、半身やってみたが塗ったまま湯船には入れない。さすがに日が暮れかかっており寒くなってきたのですぐにお湯で流してしまった。
温泉自体は大変心地よかった。また宿の夕食時間であるこの時間帯は風呂が空いているので狙い目である。写真のように内風呂も露天風呂も一人になる機会があり、写真を撮ることができた。
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鹿児島空港まで車を走らせているあいだに日没。
給油して車を戻して、空港で本日初めてまともな食事をして、お土産を買って機上の人となり、この旅は終わりである。