明暗差があるものを見る際、人は暗い場所では感度を上げ、明るい場所では感度を下げる。その両方を脳内で合成しているのでディティール(細部)の再現が成立して見えるわけだが、カメラだとそうはいかない。とくにコントラストが激しいシーンだと黒白どちらかが犠牲となる。それを目で見たように再現する技術がHDRである。
今回、うす暗い環境での滝を撮影してみた。普通は岩肌が黒くつぶれるか、水が白く飛ぶか、どちらかになる。薄暗い雰囲気を出すために(暗めに写るように)露出は-1補正してある。
通常撮影したもの。
滝の水や右の陽の当たる岩肌はきれいに出ているが、中央から左の岩肌が黒く沈んでしまっている。
ストロボを焚いて撮影したもの。
どう考えてもカメラ内蔵のストロボの届く距離ではないのだが、カメラががんばってISOを800まで上げて(感度を上げて)撮影している。そのせいか暗い岩肌はそれなりに写っているが、滝の水や右の岩肌は飛んでしまっている。
カメラ内HDR機能を使って撮影したもの。
一回のシャッターで3枚撮影し、撮影後に合成している。暗い雰囲気を保持しつつ、岩肌や水のディティールをけっこう再現している。
HDRは時間がずれた3枚の写真を合成するので、動きのある被写体には向かない。今回の滝の水は、1/60でも流れてしまうので、あまり気にはならないが、それでも色味に影響が出ているように思う。
このようにHDRも万能ではないが、見たように写るというのはやはりありがたい機能である。