ふるさと納税 20160318

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ふるさと納税が手軽にできるようになったということで今年から始めてみた。
「ふるさと納税」とは、自分が選んだ自治体に・自分の指定した額の寄付金を・使用目的(お任せも可)を指定して行う。すると来年度の住民税が低くなるという制度である。つまり正確には寄付金控除による住民税の減税である。それだけなら、これまでも存在した制度であるが、今話題になっているのは、寄付をした自治体から返礼品が送られてくるということだ。その返礼品は自分で選ぶことができ、かなりの高額商品もあるということである。
もう少し「ふるさと納税」について、昨年から導入されたワンストップ特例制度を含めて説明する。この制度は給与所得者などふだん確定申告をしていない人が対象で、確定申告などの手続きなしで住民税控除が受けられるようにしたものである。つまり「ふるさと納税」をさらに手軽に行えるようにするための施策といえる。寄付は5カ所まで、寄付をするごとに確定申告の代わりに「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する。面倒なようだが、自治体から送られてくる(またはダウンロードする)用紙に署名・捺印をして、マイナンバーの通知書のコピーと免許証のコピーなどとともに送り返すだけのことで、たいした手間ではない。減税になるのは来年度の分なので、今年は住民税も寄付も両方払うことになるのだが、来年の控除額は、およそ[住民税の20%]-2000円。つまり住民税を50万円払っている人が、20%にあたる10万円の寄付をあちこちの自治体にすると、2000円を引いた98000円が住民税から引かれ、自治体からは返礼品が届くというわけだ。ネットの記事などで「たった2000円でたくさんの返礼品が!」というのは、こういうことなのである。
さて先日、最初の返礼品が届いた。高知県の四万十町からである。

P3180007 P3180010 ちなみに高知県には隣接して四万十町と四万十市がある。

ちなみに上記のセットは寄付額20000円以上の返礼品セットの一つである。普通に買っても一匹1000円以上はするだろうし、さらに送料も無料である。

多くの自治体が返礼品の金額を寄付額の30~50%と設定しているようである。この返礼品は、自治体の依頼を受けた業者が地元から商品を購入し、寄付者に配送するシステムになっているようである。
「ふるさと納税」を俯瞰すると、自治体としては、使途が指定されるとはいえ寄付金の半分以上が入ってくる。これは今までに税収と交付金しかなかった地方の自治体にとって新たな財源である。そして寄付金の残りの半分近くは返礼品の購入などによって地元の経済を潤し、その一部は再び自治体に納税される。寄付者は返礼品に喜び、自治体は新たな財源が生まれ、地方の生産者は潤う。さらに今まで目立った観光地などがなかった地方自治体が特産品をてこに地元アピールができるチャンスとなっている。Win-Winどころか「三者総喜び」という状態である。過去に「ふるさと創生」事業で単年1億円配ったことがあったが、それに比べると「ふるさと納税」は継続的で前向きではるかに優れた制度であるといえる。
一方で自治体同士の寄付金の取り合い(結局はゼロサムゲームなので)による返礼品合戦の様を呈してきていることに対して危惧を抱く向きもある。また当然であるが寄付を行った人の住む自治体(県と市)は住民税が最大2割減ることになる。さらに高額納税者ほど高額の返礼品を受け取ることができることから、金持ち優遇ではないのかという指摘もある。
返礼品に関しては、換金性の高い商品は自粛する旨の通達が総務省から出ているようである。しかし地元で使える金券とか宿泊券とかは、リアルに足を運んでもらい金を落としてくれるわけで、地域活性化のためにも良いのではないかと思う。また返礼品合戦も今は乗り遅れまいと百花繚乱の感があるが、そのうち損益分岐点が明らかになり落ち着くであろう。また金持ち優遇という指摘はもっともなのであるが、返礼品を受け取る受け取らないは、一人一人が選択できることであり、その人の生き様の問題なのであって、それをもって悪政とはいえないと思うのだ。
私は今、都心から少し離れた地域(地方)で働いているが、地域で育った子供がどんどん都心に出て行く(そして都心で納税する)という姿が見えてきた。つまり地方には子供が育つだけの施設や人件費が求められているのに、その見返りがないという状態なのである。いままで地方が存続できたのは、それまでの貯金や地力に支えられていただけであり観光地や大きな産業を持たない地方自治体が赤字に陥るのは当たり前なのである。若い人が流出していくという構造が続く限り地方に未来はない。「ふるさと納税」はこんな地方へも金が流れる道筋をつけたという意味で画期的であるといえる。
ということで、せっかくお上が用意してくれた制度である。住んでいる市の住民税全体からすると十万分の1しか負担していない小市民の私はその20%をせっせと地方に寄付する。そして自分に恥ずかしくない程度に返礼品はいただきます。ゴチです。

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