2日目は紀勢線をひたすら時計回りに進む旅である。
松阪駅前には駅鈴のモニュメントがあった。駅鈴は奈良時代、律令制度の下で地方に出かける官吏に持たせた印である。これをもとに人足や馬などの交通手段の招集などを行う権利を示した。
また三十三銀行があった。三十三銀行は、第三銀行と三重銀行が合併したモノで、3+30=33というしゃれの効いた行名である。
0648松阪駅発新宮行き、実に3時間半超えのロングドライブ。しかし車両はロングシート2両。トイレが付いているだけありがたいのかもしれないが、これはツラい。時々対向待ちでホームに降りたり駅前に出たりはできるのだが基本ロングシートで、たまに見える海を眺める修行である。
1021新宮着。新宮駅のアナウンスでこの先にある串本で倒木のため運休中とのこと。12時には回復予定らしいのでまぁ大丈夫だろ。
1時間20分の待ち時間があるので、新宮市内散策。趣のある商店街を通って、新宮城(丹鶴城)跡へ。
城登りをしている間に天気が悪くなってきた。霧雨のような雨を若干感じたので、駅に戻る。駅前のコンビニでおにぎり食。このとき残高が4000円くらいあるクオカードを返却忘れにより無くすところだった。怖いなぁ!こちらもボーとしている。
さて駅に戻ると倒木による復旧が16時以降に延びとる。やばい。この先に進む紀伊田辺行きの列車は、串本手前の紀伊田原行きとなった。五条へ抜けるバスもこの時間には無いので乗って行くしかない。さすがに松阪方面に戻るのもいやである。
紀伊田原駅で列車は折り返すことに。職員によると14時過ぎ復旧と変わったらしく、次の1344発は串本から先へ行く見込みとのこと。まぁ今日中には帰れそうだし1時間半もあるので近辺を散策することに。同じ列車に乗っていた数人の年配だち(おそらく全員18キッパー)は駅でウロウロしている。
私は近くの田原海水浴場まで散策する。駅前を進み熊野街道を渡る。新八幡橋で田原川河口を越えるともう波の音が聞こえる。田原海水浴場である。誰もいない。当然のように「誰もいない海~」と口ずさむが、その先を知らない。
大きな岩をゴールとして、持っていた氷入りカップにコーヒーを注ぎ、買っておいたアップルパイを食べる。波の音、潮風、よき。
トラブルもトラベルに。アクシデントがなければ一生訪れることがなかった場所で、シチュエーションで、チープなティータイム。
誰かの作ったプランに乗って流されるだけの観光旅行ではなく、これこそ自分だけの旅であることを噛みしめる。正直18切符の旅も時刻表のダイヤグラムに乗っているだけで、オリジナリティはない。対向待ちで駅前に出てみたり、終点で散策したりと、自分なりにできることをやっているようだが、他の18キッパーと同じことをしているのだ。やはりあえて途中下車をするとか、何か変化を求めることが必要だと気づかされる。
駅に戻るとたむろしていた年配18キッパー(勝手に決めているけど)から、どこか行ってきたんですかと尋ねられる。私だけいなくなったのに帰ってきたので自分たちと同類(難民)だと気づいたのだろう。
14:01予定より17分遅れて串本方面行きの列車に乗り込むが、作業の進捗により発車が1415に。その後1430に変更。20分あるが、さすがに再び外に出るわけのもいかず涼しい車内で原稿を書きはじめた。14:05 急に14:10発車に変更。怖っ!まぁようやく帰路につくことになった。紀伊田辺駅まで約2時間の旅。これまたロングシート。
16:20紀伊田辺発。17:11御坊着。次の乗り継ぎは17:40発。このわずかな時間で紀州鉄道往復にチャレンジ。紀州鉄道は以前は御坊臨海鉄道という社名だったが、身売り先の会社がネームバリューを考えて「紀州」を名乗ったとのこと。わずか2.7キロと独立した路線としては日本一短い鉄道である。
弾丸往復で紀州鉄道完乗。実は今まで乗ったことがなかったと思う。
御坊駅から和歌山駅行き。和歌山では駅前でラーメンを食べて紀州路快速に乗って大阪駅へ。快速に乗って21時過ぎに川西池田駅着。
青春18切符の旅1回目は終わりである。
Comment feed