新島名物・モヤイ像


    向山展望台


    羽伏浦海岸



   湯の浜露天風呂

新島(東京都)
 今年(1996年)の3月に行ってきました。
 ってこれは新婚旅行なんだな。

新島へ行く
 新島への船はJR浜松町から歩いて5分の竹芝港から出ます。以前はうらさ びしい港だったのですが、東海汽船が奮発したのか、デートスポットになりそう な、小ぎれいなターミナルに生まれ変わっていました。新交通システムも近くを 走ってるし、なんかオシャレーな感じです。トレンディ(死語?)です。
 さて船です。今回どうしても夜の船旅に、それも豪勢にしたくて、わざわざ 夜行のカメリア丸を選び、部屋も特等Aにしました。ゴージャスな船旅‥‥を想 像していたのですが、鉄製の飾り気のないベッド、暗い室内と思ったより無骨な 感じでしたな。こらー東海汽船!乗らん客も大勢来るターミナルなんかより船の 中味を豪勢にせんかい!って感じですな。

新島に泊まる
 新島に民宿・旅館はたくさんあるのですが、ホテルはあまりありませんな。 夏の海水浴シーズンにどっと関東方面から若者が押し寄せてくる以外は静かな島 なのでしょう。今回の宿・新島グランドホテルは、ガイドブックで探し出し、電 話で直接予約した宿です(ふつう新婚旅行って旅行社に任すよなぁ)。そのやり とりの中で、この宿の温泉が地震によって出なくなったこと、だから宿泊料金は 格安にして・テニスコートなど使い放題にしていること、東海汽船の全船賃が半 額になるクーポンをくれること、などを聞き出した。東海汽船半額クーポンは、 非常に魅力的だったが、残念ながら船は2ヶ月以上前に旅行社の方で押さえても らっていたので使うことはできなかった。残念。みなさん、新島に行くときには 船の予約の前に宿の予約ですな。

 グランドホテルは村の中心地・本村から、少し離れた高台にあります。自ら 「新島で一番立派なホテル」を名乗るだけあって、まぁそこそこのリゾートホテ ル(ダイワクラブとか)並の施設でしたな。もちろん新島一というのももっとも です。ただ、従業員がいかにも、経営者夫婦とその息子夫婦というのがバレバレ の田舎旅館風なのが、
ほのぼのとしてますな。
 ここは部屋はきれいで広い。眺めもよい。食事は豪勢!と3重丸。ここはオ ススメですな。

島内観光
 7・8月以外は路線バスすらありません。自転車やバイクのレンタルショッ プもお休みのようです。逆に7・8月は定期観光バスなんかも出ているそうなの で、やっぱ夏の島なんだろうなぁ‥‥。でもシーズンオフは静かで良かったっす よ。

   モヤイ像
さて新島といえば、なんといってもモヤイ像でしょう。イースター島のやつは モアイ像。こっちはモヤイ像。なんでも、力を合わせる、という意味らしく、こ の島特産の抗火石をみんなで彫って、モアイ像のような石像を作ったことからの 命名らしいぞ。
 とにかく、港から本村までの道路沿いには、このモヤイ像が集中して、写真 のような連立状態。青い空に白い石像はなかなかGoodな光景だ。しかし天気の悪 い日なんかは不気味に見えたりもするのだ。

   石版彫り
モヤイ像は抗火石という石でできている。この石は流紋岩質の石英粗面岩で、 世界でこの新島とイタリアのシチリア島でしか採れないというから貴重なものだ 。彫刻刀で十分彫り込むことのできる柔らかさと白さが特長だ。 民宿や港の売 店で500円出せば、A4版くらいの板を彫刻させてもらえるぞ。我ら夫婦も島 を出る日に船を待つ間、彫らせてもらった。この板はもって帰ることもできるし (さらに500円アップ)、島のどこかの壁面に はめ込んでもらうこともでき る。なんでもメモリアルアート計画とかいって、1万枚に達するまでやるそうだ 。新島の思い出にぜひどうぞってなもんか。自分の彫った石版を探しにまた新島 を訪れるのもいいよね。
 しかしどうでもいいけどメモリアルアートっていうとどうしても とある墓 石屋さんを想像してしまうので、この計画名は変えた方がいいと思うぞ。

   抗火石採石場(向山展望台)
島の南側の山を向山といい、この山が抗火石を産出した火山だ。抗火石の採石 場に行くと、道も崖も真っ白で一種異様な光景だ。採石は露天掘りで行われてい る。ここから見る海の眺めもすばらしい。

   羽伏浦海岸
島の東を一直線に6qも続く、真っ白い海岸。もちろん向山の抗火石を元とす る石英を敷き詰めた砂浜だ。駐車場にモヤイ像が何点かあるだけで、他に何もな い。ゆっくりできる場所である。ちなみにサーフィンのメッカらしい。

   ガラスアートセンター
船着き場の南の丘を登ったところに
ガラスアートセンターがある。抗火石を原料にして、澄んだ緑色の新島ガラス を作り出している。新島ガラス製品の展示と販売、そして工房の見学ができる。 事前に連絡すれば、工房体験もできるそうだ。

   本村
   向畑刑場跡
江戸時代、新島は流刑地であった。流されてきた囚人は1333人。この中で、島 内でさらに重罪を犯した場合、処刑された。ここはその跡地である。
   見返り柳
向畑刑場に送られる罪人が、最後の別れに本村を振り返って、この柳のあたり を見たと伝えられている。
   なぞの榎
同じく処刑された罪人のうち、無実を訴えながら処刑された者の怨念が生えし たという榎。

   宮塚山展望台(富士見峠)
本村の北にあり、グランドホテルからは近い。宮塚山は、島の中心にあり、テ レビや無線の中継所がある 新島一 高い山である。舗装された山道をぐんぐん 上っていくと、途中に富士見峠があり、ここにはハングライダーの飛び出し台が ある。本村や前浜などが眼下に広がる素晴らしい眺めだ。

   湯の浜露天風呂
新島で一番目立つ施設だろう。なにせパルテノン神殿を模した建築物が、唐突 に磯に出現しているのだから。
 これは公共の露天風呂で、もちろん無料。モニュメントを作っても抗火石が すぐに塩分でぼろぼろになってしまうので、はじめから遺跡風にしておけばエエ やろ、と考え作ったそうだ。
 1995年の地震の影響で湯量が減り、私が訪れたときには、神殿の湯船にはお 湯がなかったが、神殿を見上げる位置にある2カ所の湯船には入ることができた 。
 近くでボーリングを始めており、神殿風呂が復活する日が近そうだ。


土産を買う
 土産物屋もシーズンオフは閉まっている店が多かった。新島独特の土産とし ては、小さなモヤイ像の置きもの。抗火石のガラス製品。それにクサヤ。クサヤ はアジなどの魚を開き塩水を何度かかけて発酵させたもので、エライ臭いがする らしい。だが一度食べると病みつきになるそうな。じつは自分用に一つ買ってあ るのだが、怖くてビンを開けられないでいる。どうしようか。 あと新島やなぁ と思わせる商品にフルーツ味のゴム製品が目立っていた(夏はナンパ島だそうだ からねぇ)。しかしお菓子など店頭に並んでいる商品が、賞味期限を過ぎている ような古いものもあり、くだんのゴム製品もそうだとすると、これはちょっとエ ライ目に遭うかもね。


新島雑感
 とにかく人が少ない時期に行ったので、のーんびりできた。逆に、少し寂し い印象も受けた。向山の抗火石・羽伏浦、モヤイと真っ白い印象、この後に行っ た伊豆大島の黒と好対照だった。
 

 以上、 OH!WOO!! 1996年11月号より

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